サステナブルなチョコレート選び|フェアトレードとカカオの未来

はじめに|チョコレートの裏側にある“物語”を知る

チョコレートを手に取るとき、私たちはつい「味」や「パッケージ」ばかりに目を向けてしまいます。でもその一枚の板チョコの裏側には、遠い国で働く農家の暮らしや、森や気候の変化といった大きな物語が隠れています。近年、カカオ価格の高騰や児童労働、森林破壊などが世界的な課題として取り上げられるようになり、消費者にとっても“選び方”がますます重要になっています。フェアトレードや持続可能な調達の仕組みは、そうした背景に応える取り組みのひとつ。この記事では、カカオをめぐる現実とともに、未来につながるチョコレート選びのヒントをご紹介します。


カカオ生産を取り巻く課題

見えないコスト:誰が負担しているのか

私たちが手にする一枚のチョコレート。その裏側では、カカオを育てる人々の暮らしが思うように改善されていない現実があります。世界のカカオの約7割を生産する西アフリカでは、多くの農家が低賃金に苦しみ、家族だけで生計を立てるのがやっとの状況です。さらに深刻なのは、子どもが農作業に従事してしまうケースが今なお残っていることです。収穫や農薬散布といった危険な作業に子どもが携わる例も報告されており、国際的にも大きな課題とされています。

森とカカオのせめぎ合い

もうひとつの大きな問題が、カカオ栽培と森林破壊の関係です。カカオは熱帯の森でよく育つため、保護区の森林が伐採されて畑に変えられてしまう事例も見られます。豊かな森が失われると、生態系や気候にも悪影響が及びます。近年は森林を守る取り組みも広がっていますが、需要の拡大によって森林とカカオ畑とのせめぎ合いは続いています。

気候変動と価格の高騰

さらに追い打ちをかけるのが気候変動です。気温上昇や降雨パターンの変化によって収穫量が不安定になり、病害虫のリスクも高まっています。実際にここ数年、主要生産国では収量減が続き、国際市場のカカオ価格は大きく上昇しました。2024年から2025年にかけては歴史的な高値をつけ、原料不足への懸念が高まっています。私たち消費者が「なぜチョコレートが高くなっているのか」と感じる背景には、こうした地球規模の問題が隠れているのです。




フェアトレード認証とは?

最低価格とプレミアムの仕組み

フェアトレード認証の基本は、農家が安定して暮らしていけるように**「最低価格」と「プレミアム」を組み合わせて支払う仕組みです。カカオは国際市場で価格が激しく変動するため、そのままでは農家の収入が大きく揺れてしまいます。そこで、フェアトレードでは最低価格を設定し、相場がそれを下回っても必ず支払われるようにしています。2025年10月からは非規制市場向けの最低価格が1トンあたり3,500ドルに引き上げられる予定です。さらに1トンあたり240ドルのプレミアム**が上乗せされ、この資金は農家の組合運営や地域開発に活用されます。

リビングインカム参照価格(LIRP)

最低価格とプレミアムに加えて、フェアトレードでは近年、**「リビングインカム参照価格(LIRP)」**という考え方を導入しています。これは農家が「貧困を脱し、人間らしい生活を送るために必要な収入水準」をもとに設定される目安の価格です。LIRP自体は必ず支払われる保証ではありませんが、生産者や企業が適切な水準を意識して取引できる指針となります。つまり、フェアトレードの価格制度をさらに一歩進めて「持続可能な生活」を実現するための道しるべといえるのです。

LIDとのちがい

似た仕組みとして、ガーナやコートジボワールが導入している**「LID(Living Income Differential)」があります。これは2020年から1トンあたり400ドル**を国際価格に上乗せするもので、各国が農家の生活改善を目的に導入しました。ただし実際には、市場価格の下落や買い手側の対応などで期待した効果が十分に届いていないという課題も指摘されています。フェアトレードとLIDはどちらも農家の収入を安定させる狙いがありますが、フェアトレードは国際的な認証制度であり、LIDは国単位の仕組みという点で大きく異なります。


認証の限界と他の枠組み

「SD」から「Premium」へ――用語の変化

フェアトレード以外にも、世界で広く使われている認証があります。その一つが**レインフォレスト・アライアンス(RA)**の仕組みです。RAでは、農家に追加で支払われる上乗せ分を「サステナビリティ・ディファレンシャル(SD)」と呼び、最低でも1トンあたり70ドルを確保するよう定めています。2025年10月以降は、この呼び名を「プレミアム」に統一する方針が示されており、よりわかりやすい形で農家支援の仕組みを整えようとしています。

マスバランスという考え方

RAの認証では「マスバランス」という方式も取り入れられています。これは、輸送や加工の段階で認証品と非認証品が混ざってしまっても、最終的な販売量と生産量の帳尻を合わせることで認証を維持する仕組みです。たとえば100トンの認証カカオを買った企業は、流通の過程で混ざっても100トン分の「認証製品」を市場に出せる、という考え方です。完全に分けて管理するより現実的ですが、消費者からすると「この板チョコが必ず認証農園の豆だけでできているわけではない」点には注意が必要です。

効果と限界を見極める

こうした認証は「意味がない」ということでは決してありませんが、効果には地域差があります。インドネシア・スラウェシを対象にした研究では、生物多様性の保全効果が限定的だったと報告されています。これは仕組みそのものよりも、現地での運用や実施方法に課題があった可能性があります。また、一部では過剰な認証や不正に対して規制当局が懸念を示した事例も報じられています。つまり、認証は万能ではなく、設計や実行の質に大きく左右されるのです。消費者としては、ラベルを見るだけで安心するのではなく、そのブランドがどのように透明性を保ち、責任を果たしているかを併せて確認することが大切だといえます。


当店の取り組み|インドネシア産×自社一貫製造×素材の透明性

インドネシア産に特化したこだわり

私たちが扱うチョコレートは、すべてインドネシア産の厳選カカオから生まれています。火山灰を含む豊かな土壌で育ったカカオは、フルーティーで奥行きのある香りを持ち、他の産地とは違った魅力を楽しめます。島ごとに異なる個性を大切にし、シングルオリジンで仕上げることで、カカオそのものの味わいを感じていただけるようにしています。

自社工房で一貫製造する安心感

当店は、カカオ豆の焙煎からチョコレートとして仕上げるまでをすべて自社工房で一貫製造しています。これは「Bean to Bar」と呼ばれる製法で、素材の選別から仕上げまでを自分たちの手で行うことで、味のクオリティはもちろん、どのような工程を経ているかが明確になります。小規模だからこそできる丁寧な製造プロセスが、安心感にもつながっています。

“カカオ+砂糖のみ”のシンプル設計

板チョコレートは基本的に**「カカオ+砂糖のみ」**というシンプルなレシピで仕上げています。使用する砂糖も、製品ごとにパームシュガー、素焚糖、希少糖などを使い分け、自然な甘みを引き出す工夫をしています。乳化剤や香料、植物油脂などの添加物は加えず、素材の個性をそのまま感じられる仕上がりです。だからこそ、カカオの産地や品種ごとの違いが一枚一枚のチョコレートに表れます。

おすすめ商品とギフト提案

商品ラインナップ

商品名

内容量

テイスティングノート

価格

URL

ジャラクガナッシュ(生チョコ)

8個入り

なめらか×濃厚カカオ

¥1,960

https://jalak-yumex.net/collections/chocolate/products/1004

ボンボンショコラ 6個入り

6個入り

フルーツ×ナッツ×紅茶の個性派

¥2,760

https://jalak-yumex.net/collections/chocolate/products/%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%B3%E3%83%A9-6%E5%80%8B%E5%85%A5%E3%82%8A

それぞれの特徴

ジャラクガナッシュ(生チョコ)

ジャラクのBean to Barチョコレートを贅沢に使った、なめらかな口どけのガナッシュ。インドネシア産カカオ豆を丁寧に焙煎・精製し、そこに生クリームとバターを加えることで、リッチでやさしい味わいに仕上げています。手土産や贈り物にぴったりなサイズ感で、冷蔵で届くため、ひんやりとした食感も楽しめます。

ボンボンショコラ 6個入り

6つの異なる味が楽しめる、華やかな一粒チョコレートの詰め合わせ。ベリーの酸味が爽やかな【アムール】、沖縄の塩が香る【塩キャラメル】、香ばしい【アーモンドキャラメル】、人気の【ピスタチオ】など、色・香り・食感が一粒ずつ異なります。見た目にも美しいチョコレートは、特別なギフトにぴったり。インドネシア産カカオの奥深さと素材の妙が詰まった逸品です。

 

商品一覧を見る https://jalak-yumex.net/collections/chocolate

 


まとめ|おいしさと未来をつなぐサステナブルな一枚

チョコレートを選ぶとき、私たちは味や価格だけでなく、その背景にある物語にも目を向ける時代になっています。カカオ農家の低賃金や児童労働、森林破壊や気候変動といった課題は、決して遠い世界の出来事ではありません。フェアトレードやレインフォレスト・アライアンスといった認証は、農家の暮らしや環境保全に寄与する仕組みですが、万能ではないからこそ透明性や実際の取り組みを見極めることが大切です。当店はインドネシア産カカオに特化し、自社工房で一貫製造、余計な添加物を加えず素材の個性を活かしています。サステナブルな選択は「おいしい」と「正しい」を両立できる一歩。安心して楽しめる一枚を、ぜひ手に取ってみてください。


参考・主要出典